『海の教科書』読書メモ 9/28
経緯
紺野アスタ氏がシナリオを担当している『ATRI ーMy Dear Moments−』を絶賛プレイしている訳だが、ATRIの世界では海面上昇により都市一つが丸々海に包まれる程の被害がもたらされた様子が描かれている。主人公が暮らす街では海面上昇により政府からの支援も断たれ、電力がまともに通っていない。そこで、理工系の現在の大学に位置するようなアカデミーを中途退学した主人公が、地元の海面上昇により被害を被った廃校寸前の学校で、構内に流れ込む潮流を利用した潮汐発電機を設計したり、潜水艇で水中に沈んだ街から、依頼された思い出の品々をサルベージしたりと工学的な内容が登場する。プレイして思っていたが、自分は教養レベルの工学的知識、フィラメント式白熱電球とか、発電機の基本的な仕組み等、を全然知らないことに気づいた。興味がなかったわけでは無いが、中学生の頃からろくに理科の授業を聞いていたためしが無いので少しばかり危機感を覚えた。そこで手に取ったのがこの『海の教科書』だったという訳だ。
メモ
本を読むだけだとあんまり知識が身につかないので、読んで得られた知識を自分なりに総合して再構築する。読書メモと題して引用文だけを記述するよりも、自分の中で得られた知見を総合して再び吐き出した方が記憶の定着率が高いという経験則のもと、自分なりにまとめなおす。
序章の内容は海に関する知見や知識を様々な観点から概略的にまとめていた。例えば、日本の教育における学習指導要領には海に関する記述が、高校の地学を除いては殆ど見られない。その地学においても、地質学や天文学などに関する記述が大半を占めている。といった感じ。高校時代にも地学を選択している生徒はクラスに一人しかいなかった記憶がある。日本は海洋大国であり、様々な恩恵を海から授かっているにも関わらず、若者の海に対する関心が薄れていることを嘆いている様子が本文からも垣間見えた。日本は、島国で国土面積はそこまでだが、約7000もの島から構成されており、排他的経済水域と領海を併せた面積は世界6位とその海洋大国ぶりが垣間見える。確かに、今年の春に直島に行った際も瀬戸内海に複数の島が浮かんでいた。それでも7000個近い島があるとは知らなかった。
『海の教科書』では、海洋学の中でも、海を物理学的な観点から体系的に論じる海洋物理学に関する知見をベースに書かれているようだ。海洋学は地球科学に分類されており、他には地質学や火山学、天文学、気象学などがある。海洋学はその他の分野と比べて、実地での調査に多大な費用が掛かることや、天文学などと異なり、光学的な手法が利用できないこと等から学問の成熟がスローペースである。実際に、海上での調査を行うためには、人件費や船舶の燃料費など諸経費がかさみ、数千トンクラスの船舶を1日運航するために数百万の費用が掛かるらしい。また、海洋学は気象学とも関係している。天気予報などで、数日間の大気の変動を予測するだけなら、現状観測される大気をもとに予測がある程度出来るが、長期的な大気の変動を予測するためには、海の様子を観察する必要がある。海洋の熱総量は、大気の熱総量に較べて約1000倍程と言われており、海での1000分の1℃の変化が、大気の1℃の変化に相当すると考えると気象学と海洋学の関係がタイトであるということが窺える。
海洋学は現在では各国間の共同研究のもとで興隆しているが、このような世界規模での海洋学研究が興ったの第二次世界大戦以後だったようです。また、海洋学はWWⅡの際に、戦線での波浪予測のための理論が作られたり、海洋大循環に関する理論が構築されたと言われている。
一章だけを読んで書いている。実際はここでメモした8倍ぐらいの知識があったが現状記憶に残っているのはこのぐらい。やはり一度書籍を読んだ程度で身に着く知識はたかが知れている。まだ、インドでエルニーニョ現象に似たようなインド洋ダイポールモード現象が最近になって発見されたり、漁獲量が年々減っていて、昔は北海道で鰊が取れまくって、鰊御殿なるものが建設されたり、日本には海洋資源が沢山あって、メタンハイドレートや火山が海底に滲みだして急速に冷却された海底熱水鉱床の話などあったが、詳しい話は忘れた。ATRIプレイし終わったら感想でも書こうかな。