生体電気信号について 10/31
ブルーバックスは説明したい内容から逆算して、知識をトップダウン的に書きおろし、一般読者の常識レベルまで分解したら後は、それを理解しやすいように知識を再構成してお届けするという方式を採用している。専門家が自分の研究内容について語るのが容易ではないのは、読者の常識レベルまで知識を分解するプロセスが膨大過ぎるからである。ABC予想という数学上の未解決問題が存在するが、京都大学数理解析研究所の望月新一教授がそれを証明したという論文が2012年8月30日に投稿された。このABC予想の証明には従来の数学の理論とは異なる、宇宙際タイヒュミラ―理論という物が用いられているらしく、査読に8年を要したという。各国の著名な数学者たちをして論文を理解するのに8年の歳月を要したものを、一般人に分かりやすく説明するというのは難しい話である。そもそも、分かりやすく説明できるならさっさと数学者としてのポストを確立した方がよい。今回の内容は大学で学習するぐらいのもので、専門家の力を以てすればったた十数ページ程度で我々に分かったという感触を与えてくれる。有難う専門家、私の科学リテラシーはあなたたちによって培われています。しかし、要約された知識ばかりを食すのは、真摯な学問への向き合い方ではないということは、社会学の創始者であるコントによって指摘されている。プログラミング言語であるCは一般的な情報系の大学であれば学習するらしいがメモリの管理やら、構造体の理解などが難しいらしく、「苦しんで覚えるC言語」という書籍が出版される程度には学習に労力を必要とするものもある。このように辛酸を舐め得た知識という物は自分の中に深く刻まれ、言わば本物の知識という呼べるものかと思う。楽して勉強してごめん。
今回読んだ『神経とシナプスの科学』では、高校で履修する化学基礎ぐらいのレベルまで落とし込んで説明がなされていたため概要は理解できた。と言っても恒例の書籍全体の内容がという訳ではなく1章の生体電気信号の基礎となる部分だけであるが。
まず、電子は金属固体物質中では自由に結晶を移動して電流を伝える事が出来るらしいのですが、物質の分子や原子が動きまわっている水溶液中では電流を伝えることが出来ないようです。そのため、水溶液中で電流を伝えるのは専ら電解質イオンであると言われているようです。また、生体電気現象の研究は電磁気現象の研究とは異なり、電子や原子の基礎的な知識を必要とし、物理学や化学、他の自然科学の知見や実験技術が必要であったようです。電流が流れる仕組みを日常の現象と絡めて説明するために、静電気が発生する仕組みを簡単に説明していたので、それをなぞっていく。まず、一般に原子では量子力学の様に波動性を考慮せず、粒子性だけを考えるとプラスの電荷を持つ陽子の周りをマイナスの電荷を持つ電子が太陽系の様に回っている。そこで、陽子の数と電子の数は等しく電気的に中性である。(「ようしのかずと」と変換しようと思ったら「養子の和人」)ここで冬場を想像していただく。もこもこの衣服とわれわれの身体が擦り合わさり、片方のマイナスの電荷が片方の物質へ移動すると、マイナスを失った方はプラス電荷が過剰で、プラスの電荷を受けた方は、こちらも過剰となる。そこで、ドアノブなどの金属へ手を近づけると帯電した衣服、身体から放電が発生するようです。これはあくまで空気中での説明で、電解質溶液中で、荷電したイオンが運動している中では、先ほどのように物質がプラスかマイナスに帯電することが無いため、電解質溶液中ではどの部分を切り取ってもプラスとマイナスの電荷の釣り合いが取れており、これを電気的中性条件と呼ぶようです。(電子書籍で読んでいるのでページ数が分からない。6%部分)何故、電気的中性条件が話に出たかと言うと、身体は約7割が水で構成されているというように、コイルの様な電磁気現象で電流が流れるというよりも、電解質溶液中で電流が流れる仕組みを説明しないと生体電気現象が理解できないためである。
まず、何故生体内での電気現象が研究されたか遡ると、18世紀のヨーロッパへタイムスリップする訳ですが、イタリア、ボローニャの科学者であるルイージ・ガルバーニが蛙に電極をくっつけたら電流が流れて、蛙が筋肉収縮を起こしたという話があり、この現象の解釈が論争を呼び、生体内から発生した電気が、くっつけた金属に流れた派閥と、金属から電気が流れた派閥に分かれたという話である。(★前に読んだ内容なので正しいのか不明、確かこんなこと言ってた。)後者はボルタと呼ばれる、ボルタ電池を開発した人間で、実際はこのボルタの解釈が正しかったことが分かった。実は、このボルタ電池で電流が流れる様子が、生体内で電流が流れる原理と一緒らしいので引き合いに出しました。
ボルタ電池は、希硫酸水溶液中に、銅の電極と亜鉛の電極を突っ込み、金属線で両方を繋げると電流が流れるという物である。亜鉛は水溶液中に溶けやすいが、先ほど説明した通り、電解質溶液中は電気的中性条件によりイオンがプラスにもマイナスにも帯電しないため、溶けようとした亜鉛イオン(Zn+2)は亜鉛は電極表面の電子(e-)と向き合い、電気的二重層という物を作り出すらしいです。そこで、金属線で亜鉛と銅の電極を結ぶと、亜鉛の電極表面にあった亜鉛イオンが水溶液中に流れ出すようです。しかし、電解質溶液中は電気的中性条件を崩さないように、硫酸が水素イオンと硫化物イオンに電離して、水素イオンは、亜鉛イオンから流れ出し銅へ移った?電子(e-)と結合して水素水素原子、水素ガスとなり空気中へ。そして、電子が流れる方から逆向きに電流が流れるようです。
やっぱり、一回読むだけでは全然頭に入りませぬね。生体電気現象を説明するための基礎を知るためにどのような知識が必要なのか図を用いて視覚化すると説明する時楽そうですね。こういう時に図形をパッと出力できるツールがあると良いのですが