富山旅行記 4/2

3/24に富山へ赴く。北陸新幹線が開通したとのことで勿論、お金が潤沢にない学生は在来線を使って乗り継いでいく。丁度、富山駅に着いた頃、駅前でイベントが行われていたらしく賑わいを見せていた。登壇しているファシリテーターが何やら興味深い台詞を吐いていた。「富山でこんなに快晴な事はない」と。晴天を祝福する流れを聞いて私は、その場を去った。どうやら今日はいい日らしい。確かに北陸地方は降雨日数が多いことで有名であるし、先日読んだ米澤穂信の「ボトルネック」という作品でも、登場人物の一人で、主人公の恋人出会ったノゾミは、横浜から金沢に引っ越して雨の多さに辟易したという記述がある。神奈川から金沢という一文字のスライドが天気に大きな影響を与える事もあるようです。話は逸れたが、快晴が話題に上るぐらいに晴に価値を重んじる土地で、快晴とは幸先が良いぞと言う事で始まった旅であるが、日帰りでそそくさと帰っていたので富山で過ごした時間は精々4時間程度であったことをここに告白する。

富山は路面電車が多く走っており、駅前には路面電車専用の路線が交差しほぼ数分おきに電車が入行する次第であった。富山駅周辺をぶらりと目的もなく遊行した私は、富山地方鉄道線で岩瀬浜へ向かった。理由は特になかったが、私は何故か旅に出ると海へ赴く習性があるようで、岐阜や長野、埼玉といった内陸部への旅行はどうも出来ない性らしい。といったが、この前埼玉の北上尾にいった。理由は特にないです。丁度15:00前に、富山駅から出た電車は街中を走り岩瀬浜駅へと到着した。調べたところ岩瀬カナル会館という所で、レンタルサイクルが借りられるという事で行ってみたら16:30までで打ち切られるという事でこれはまずいと思い足早にチャリを漕いだ。レンタルサイクルの醍醐味は土地を直に感じられるところで、電車での移動や、タクシーでの移動では感じられないその風土の空気感を存分に楽しめる。私は、立ちどころに浜辺へ向かったのだが、何やら大きな船舶が座礁している所を確認しあれま、これは感を拭えなかった。浜辺でビーチバレーに勤しむ諸兄・諸姉や、浜辺で駆ける少年少女の幼気さに酔いしれる間もなく、時間に急かされて私は、その場を去った。周囲を走っていると、どうやら海沿いにサイクリングロードがあるではないか。こんなお誂え向きのスポットがあるなら行かねばとゴーストが囁いたので、レッツゴー。サイクリングロードは防砂林の影で、折角の日差しを浴びながら絶好の環境とはいかなかったが、いかんせん気温が上がっていたので富山駅を出てより一滴も水分を摂取していない自分にとってはありがたかった。かすかに、木々の間から見える海は長閑というほかなく浜風も非常に心地良かった。走行中に看板が見える。橋まで4.5km。世界の端までの看板かと思ったら、どうやらサイクリングロードの中継地点までの距離が示されていた。正直時間が無かったのでどうしようか悩んだが、どこにも行かずに帰るのもしょっぱいので有り金ならぬ、有限時間をはたいて私は少しギアを上げた。(400円で借りれたがギアは無かった)

やってきました到着地点。確かに、観光場所と名を冠した場所は無かったけれど、道中で様々な景色を見つける事が出来た。謎のカラスの集団や、海なのに波の中で水切りをしようと熱心に子供に投げ方をレクチャーしている謎のお父さん。あの人は結局何をしようとしていたのだ。世界の理不尽さや荒波に揉まれても静かに沈んでいく事の大切さでも説いていたのだろうか。夢も希望も無い。なんか知らんけどいい感じの公園だったり、いかにも何かありそうなテトラポットが神殿の柱みたいに並んでいる場所など。ラベリングされずとも魅力あふれる場所で溢れていたような気がする。橋に着いた帰り、別に何も無くて虚無感に襲われそうになったけれど普通に景色が綺麗だったのでいいかと帰路についた。といっても帰り道は行きと景色が違う。同じ道だけれど見えてくる世界は違ってくる何か教訓めいたものを帰りは教えてもらった。加藤英美里の帰り道を聞いて帰った(嘘)